日本動脈硬化学会は、
心筋梗塞(こうそく)など動脈硬化性疾患の予防や
治療の指標から従来の「総コレステロール」をはずし、
代わりに「悪玉コレステロール」といわれる
LDLコレステロールなどを判断基準とする
新しい診療ガイドラインを策定した。
拘束力はないが、多くの医療現場は対応が迫られそうだ。
3日、福岡市で開かれた同学会理事会で承認された。
狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などの病気を招く
「高脂血症」の診断基準には、一般的に総コレステロールが使われている。
同学会が02年に策定したガイドラインでも、
血液1デシリットルあたり220ミリグラム以上を
「高コレステロール血症」とし、心筋梗塞などを防ぐには
220ミリグラム未満に抑えるよう求めてきた。
しかし、「高コレステロール」の中でも、
「善玉」のHDLコレステロールが多い場合には
LDLコレステロールは通常より低く、動脈硬化につながりにくい。
日本人はこうしたケースが多く、総コレステロールを基準にすると、
必要量以上の投薬が行われるなどの問題が分かってきた。
このため、「誤解の元」となる総コレステロールを基準から外し、
高コレステロール血症は「LDLコレステロール140ミリグラム以上」とした。
策定の中心となった同学会動脈硬化診療・疫学委員長の
寺本民生・帝京大教授(代謝学)は
「日本人のデータに基づき見直しを行った。
他の学会にも呼びかけ、基準の統一を図っていきたい」と話している。
【山田大輔】毎日新聞 2007年2月4日 東京朝刊