厚労省研究班のまとめです。

たばこで余命3・5年短縮 男性、40歳時点で 1万人の追跡調査で推計 

厚労省研究班記事

:共同通信社提供
:共同通信社【2007年7月24日】 


たばこを吸っている男性の40歳時点の平均余命は、
吸わない男性より3.5年短い-。

厚生労働省研究班(主任研究者・上島弘嗣(うえしま・ひろつぐ)滋賀医大教授)が
24日までに、30歳以上の男女約1万人を対象とした追跡調査を基に、
こんな推計をまとめた。 

1日2箱以上吸う男性の余命は、1箱未満よりも0.9年短く、
ヘビースモーカーほど短命の傾向がうかがえるという。 

喫煙が健康に悪影響を及ぼすことは広く知られているが、
たばこの影響を余命で示したのは国内初の試みという。 

推計の根拠としたのは、1980年に全国300カ所の保健所で健康診断を受けた
30歳以上の男女のうち、計9625人(男性4237人、女性5388人)に対する追跡調査。

このうち99年までに死亡した約2000人の喫煙の有無や、
年齢別の死亡率などを基に全調査対象者の平均余命をはじき出した。 

それによると、健診時にたばこを吸っていた男性は2666人(喫煙率・約63%)で、
40歳の平均余命は38.6年。
残る男性のうち、もともと吸っていなかった777人については42.1年で3.5年長かった。 

以前は吸っていたが健診時に禁煙していた794人の余命は40.4年。 

男性喫煙者のうち1日の本数が「1箱未満」の40歳の平均余命は39年、
1?2箱は38.8年、2箱以上は38.1年と、本数が多いほど余命が短くなる傾向がうかがえた。 

女性の喫煙率は約9%で、喫煙者(476人)の40歳の平均余命は43.4年、
非喫煙者(4793人)は45.6年と、2.2年の差があった。 

研究班の村上義孝(むらかみ・よしたか)滋賀医大特任講師は
「男性の場合、喫煙が平均余命に影響していることは明らかといえる。
女性も同様な傾向がみられたが、調査開始時点での喫煙率が低く明言はできない」としている。

▽喫煙の影響 

喫煙の影響 たばこに含まれるニコチンなどが健康に与える影響については
多くの研究が行われ、喫煙者はがん、心臓病、脳卒中、肺気腫、ぜんそく、
歯周病などの罹患(りかん)率が高いことが知られている。

厚生労働省によると、喫煙男性は、非喫煙者と比べて肺がんによる死亡率は約4・5倍、
食道がんによる死亡率は約2・2倍。
2005年の喫煙率は男性39・3%、女性11・3%。男性は年々減少傾向で初めて
4割を下回ったが先進国の中では高い。
女性は20代(18・9%)、30代(19・4%)でほかの世代より高くなっている。