★温暖化で日本の砂浜9割が消失、農漁業も影響…環境省

地球温暖化が加速しているとの国連の報告書が2日、
発表されたのに合わせ、環境省は同日、
これまでの国内での調査研究結果をまとめた資料集を公表した。

 熱中症患者が増え、コメの収穫量は減少、砂浜の90%が消失――。
温暖化がこのまま進んだ場合、日本でも国民の健康面をはじめ、
農業など多方面で深刻な影響が 生じることが改めて示された。

国立環境研究所などの予測によると、
今世紀末、日本では最高気温30度以上の
真夏日の日数(2006年は東京で38日)が2~3倍に増える。
エルニーニョ現象 がより顕著になり、
6~8月には豪雨になる頻度が増し、異常気象がますます深 刻化 する。

その結果、コシヒカリの栽培では、苗をこれまでと同時期に植えた場合、
気温の高まりで50年後に東北地方南部から南の多くの地域で、
約10%収穫量が減る。
生育も不十分となり、米粒が乳白色化して、
品質が下がる。九州北部から中部の水田では、
太陽熱で蒸発する水分量が増加、慢性的な水不足が予測される。

ミカンの生産適地は北上し、冷涼な気候向きのトマトの糖度が下がる。

健康へのリスクも高まる。1940年代に長崎、大阪などで流行したデング熱を
媒介する蚊の一種ヒトスジシマカはすでに
2005年、岩手、秋田県で確認されているが、
その生息域が一層、北に広がる。最高気温が35度を超えると、
熱中症患者の急増が予想される。

国連の報告書は、世界中で海面上昇が発生すると予測しているが、
仮に日本沿岸 で海面が1メートル上昇した場合、
砂浜の面積の90%が消失し、渡り鳥の餌場となっている干潟もなくなる。
東京、大阪湾などでは高潮対策に7兆8000億円が必 要になるなど、
巨額の投資が必要になる。

海水温が2度前後上昇しただけでも、
サンマ、イワシ、サバなどの漁場が北上し、
トラフグを養殖できる海域は縮小。

大型クラゲによる被害がより拡大する恐れもある

こうした予測について、
環境省研究調査室は「これだけ広範な影響が予測されたことに驚いている。
地球温暖化を防ぐ努力はもちろん大切だが、温暖化が進んだ社会に
適応することも考えていかなくてはならない」と話している。

(2007年2月2日23時20分 読売新聞)