★ノニ被害

●  ノニとは?  ノニ(Noni)はアカネ科(Rubiaceae)の植物で、
学名はモリンダ・シトリフォリア〔Morinda citrifolia〕です。
ノニはハワイで呼ばれている植物の名称で、
他に“Indian Mulberry”、“Nonu”、”Nono“、
沖縄では”ヤエヤマアオキ“とも呼ばれています。 

ノニはポリネシアから東南アジア、沖縄など、熱帯から亜熱帯の広い地域に
自生し、5-8m程になる常緑の灌木で、表面がゴツゴツした果実を付けます。
果実は最初は緑色で、熟すと黄色になり中鎖脂肪酸による発酵臭を出します。
古くから民間薬、赤色染料として利用されてきました。

健康食品として販売されているノニジュースは、
ノニの果実から調製した果汁に、
少量のグレープジュースやブルーベリージュースまたは
天然香料を添加して飲みやすくしたものです。

●  ノニジュースの有効性と安全性  
ノニジュースは、俗に糖尿病、高血圧、免疫力の強化、心臓病、
ガンの予防、美容や健康に効果があるといわれていますが、
そのヒトにおける確実な科学的根拠は現時点では見当たりません。
動物や細胞の実験において抗ガン作用を示した報告はありますが(PMID:11795436)(PMID:10441776)、その作用についてはさらなる検討が必要とされています(PMID:14664736)。 

ノニの根にはアントラキノン(anthraquinones)が含まれていますが、
果実には含まれていないと報告されています
(1)。特に発ガン性があるアントラキノン誘導体のlucidin とrubiadinは、
  果実から調製するジュースには含まれていないと報告されています
2)。 2002年12月に欧州委員会(Scientific Committee on Food)は、
  タヒチアン・ノニ・ジュース(モリンダ社(MorindaInc.))の安全性についての
  報告書を出しています(2)。その報告書には、ノニジュースに
 (1) 亜急性および亜慢性毒性、遺伝毒性、アレルギー誘発性の試験に
  おいて有害作用は検出できないこと、また数カ国で市販されてから
  数年経過しているが健康被害の報告はほとんどないこと、

 (2) 有効性においても他の果実ジュース以上の健康効果はないと記載されています。

市販されているノニジュースにはいろいろ商品がありますので、
全て同じとはいえません。

特に天然のものから調製するときは、同じメーカーの商品であっても、
常に同じ成分組成のジュースを作成することは
極めて難しいことを理解しなければなりません。

従って、この報告書の内容が全てのノニジュース商品に当てはまるとはいえません。

ノニジュースは世界十数カ国で販売実績があり、
その利用者は100万人以上と言われます。

但し、天然ハーブの為ごくまれに刺激を強く感じる場合があります。
その場合 は量を減らすか、体に合わないと感じたときは飲用をお止めください。
また、腎障害・肝障害をお持ちの方は特に注意が必要です。
(下記ご参照ください)

【ノニジュースが関連した海外の健康被害事例】

1)米国で慢性腎臓障害をもつ男性が、代替医療としてノニジュースを摂取して
  高カリウム血症を起こした事例があります。
  摂取したノニジュース中のカリウム量はオレンジジュースやト マトジュースと同じでした。

2)29才男性(少量のアセトアミノフェン摂取に関連した中毒性肝炎の既往症あり)が、
  ノニジュース1日1.5リットルを3週間摂取して亜急性肝不全を発症し、
  緊急肝移植手術を受けた。

3) 62才女性(肝臓病の既往症なし)が、ノニジュースを1日2リットル3ヶ月間摂取して
  自然治癒性の急性肝炎を発症した。

4)45才の患者(病歴や医薬品服用は特になし)がノニジュース1日グラス一杯を
  3週間摂取して血中トランスアミナーゼの顕著な増加とLDHの増加を示し、
  肝生検により肝障害と診断された。
  その後ノニジュースの摂取中断によりトランスアミナーゼは正常域に回復した。

5)多発性硬化症で6週間インターフェロンβ-1a(IFN)の投与を受けていた
  24歳女性(薬物誘導性肝炎の疑いでIFN治療停止)が肝障害(黄疸)と診断され、
  免疫増強目的で4週間摂取していた
  ノニジュース(Morinda citrifolia)がその 原因と推定された。

上記のノニと肝臓毒性については、
ノニに含まれるアントラキノン類が関与していると推定されていますが、
因果関係は明確ではありません。

健康食品等の摂取による健康障害の発生は、
利用者の体質なども関連しますので、
食品=安全という考えで過大な期待をして利用することには注意が必要です。

行政の第三機関である下記のサイトにてノニについて
注意事項など情報を公開しておりますので是非一度ご覧くださいませ。
→独立行政法人

「健康食品の安全性・有効性情報」

フランスは、ノニジュースについて消費者に警告!!

フランス食品安全協会は、いくつかの研究から、
ノニジュースが肝炎に関与したことにより、
消費者は1日あたり30ml以上飲まないように薦めている。

フランス食品安全委員会は、ヨーロッパ市場に入ってくる
ノニジュース製品の増加する数に応じてこの発表を出した。

ちょうど今週、英国の食品安全管理者は、
欧州連合のマーケティング承認申請をハワイアンノニから受け取ったと話した。

しかし、新しい食品製品に対して非常に慎重なアプローチを取ると
知られているフランスの委員会はそのトロピカル果実(ノニ)については
限られたデータしかないと言っている。

委員会はさらに、最近の2つの出版物が、
3人の消費者がノニジュースを飲んだ後に
厳しい肝臓障害を発症したことを報告していると注意した。

これらの報告は「胃腸学・肝臓学ヨーロッパジャーナル 
(2005;17:445-7)  European Journal of Gastroenterology and Hepatology 」と
「胃腸学世界ジャーナル (2005;11:4758-60)  the World Journal of Gastroenterology 」で
掲載された。

問題の原因調査はまだ進行中であるが、
委員会は一日に30ml以下の消費量を推薦する製品のラベルに注目した。

この製品に関する立証されていない健康増進効能やインターネットで
主張された健康上有効性に関して消費者は耳を傾けるべきではない、
という新規食品規制局からの忠告を委員会は繰り返し述べた。

記事著者:ドミニーク・パトン