★あなたのDHEAは

老化度チェック
http://www.tokyo-np.co.jp/00/ken/20070119/ftu_____ken_____001.shtml

 「抗加齢」(アンチエイジング)という言葉が、医療の世界でも広がってきた。

微小のがんも発見しやすいPET(ペット=陽電子放射断層撮影装置)に加え、
老化度を測る「抗加齢ホルモン検査」を取り入れて
体の状態を診断する施設も現れた。 (藤 英樹)

 横浜市の「ゆうあいクリニック」(小沢幸彦院長)は、
PETやコンピューター断層撮影(CT)、
磁気共鳴画像装置(MRI)を使ったがん検診専門施設。

昨年十月から「アンチエイジング・コース」を新設した。
 「人間ドック目的の一般受診者は、四十-五十代の働き盛りが多い。
がんの発見だけでなく、生活習慣病全般をチェックしたいという
要望が強いので、PETだけでなくより幅広く体の状態をとらえる
指標があればと考えた」と小沢院長はコース新設の理由を語る。

 同コースを受診していた四十代後半の女性は、
「最近胃に良性のポリープが見つかり、親族にがんが多いということも
あって体が気になりだした」と言う。

同時に片頭痛などにも時折襲われ、
「老化が予想以上に進んでいるのではないか」と心配する。

 検診は超音波、
MRI、PET-CT(両方を一つの機器に組み込み同時に撮影できる)
などの順で進められた。

 女性は血液も採取された。
がんチェックの指標となる腫瘍(しゅよう)マーカーなどに加え、
血中の抗加齢ホルモン・DHEA(デヒドロエピアンドロステロン)の
血中濃度を調べるためだ。
同ホルモンはがん発生の抑制にも関係しているといわれるが、
二十代をピークに減り始める。

 同クリニックがDHEA検査を導入したのには理由がある。

久留米大学(福岡県)医学部心臓・血管部門グループが昨年十一月に、
米国心臓病学会で発表した疫学調査結果に強い衝撃を受けたためだ。

 同グループが同県内の住民のDHEAを測定し、
二十七年後に生存調査を行ったところ、
男性では血中濃度が二百マイクログラム以上の集団に比べ、
百三十マイクログラム未満の集団の死亡数は六倍以上になった。
同グループは「DHEAは長生きのバロメーターであり、
体の維持に欠かせない役割を担っている」と結論づけた。

 同クリニックは、老化度のチェックもPETでのがんの発見とともに
健康維持には欠かせないと判断、DHEA値を重要な体の指標とした。

 約五時間かかった検診の後、前出の女性は医師から
PET画像を見ながらがんの可能性などについて説明を受けた。

DHEAなどの値は二週間後に郵送される。

 同クリニックの桑田有希子医局長によれば、
PETでがんが見つかる確率は1-2%。
「むしろ他の生活習慣病の可能性が高い人が圧倒的に多い」と言う。

血糖や血圧の値などとともに今後、DHEA値が重視されてくるとみられるが、
久留米大の調査グループを率いる今泉勉教授は、
検診の指標とされることに、こう注意もうながす。

 「生命予後にかかわる極めて重要なデータだけに、
生命保険会社なども知りたがる。本人が知ることでショックを受ける懸念もある。
取り扱いには慎重を期してほしい」

<メモ>DHEA  副腎から分泌される。

がんのほか動脈硬化、糖尿病、アルツハイマー型認知症の抑制など
幅広い生活習慣病に関与している可能性を、
久留米大の調査グループは指摘した。

米国では1994年にサプリメントとして認可され、
日常的に補充する人も多いが、
「寿命が延びるかどうかのデータはない」(今泉教授)という。